不妊治療の最後の切り札!?体外受精・顕微授精について知りたい!

taigai5不妊治療をはじめるカップルの多くは、タイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精の順でステップアップしていきます。ただタイミング法人工授精も自然妊娠とそれほど変わらないのに対し、体外受精・顕微授精は人の手によって操作されることが大半を占めてしまうので抵抗がある人も多いですよね。

薬剤を使用したり、さまざまな検査をしたりと肉体的にも、そして金銭的にも負担が大きくなるのは事実。でも妊娠率は高いことがわかっています。

体外受精・顕微授精って簡単に言うとどんな方法?

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体外受精とは卵巣から卵子を手術によって取り出し、体外で精子と受精させることです。そして受精卵をある程度まで育ててから子宮に戻すという方法。顕微授精は受精させる際に精子1匹を直接卵子に注入する方法です。

タイミング法や人工授精では受精は自然に任せていましたが、体外受精ではそれを体外で確実に行うことができます。

受精の方法は2つ。シャーレ内の卵子に精子をふりかけて自然に受精させる「媒精」と1個の精子を針に吸い上げ卵子に直接送り込む「顕微授精」があります。

体外受精・顕微授精の流れ

①採卵前の準備(2週間前後)

卵子を育てることと卵子を排卵させないで卵巣内にとどめておくことを飲み薬や注射などでコントロールします。

②採卵・採精(半日)

麻酔をし、採卵針で卵胞を取り出します。同じ日に男性は採精をします。

③受精・培養(3~5日)

卵子と精子を受精させて、培養器で培養。

④移植(半日)

子宮頸管の洗浄を行ったあと、受精卵(胚)を子宮に戻します。

⑤妊娠判定(移植から約2週間後)

着床した時に分泌されるhCGというホルモン濃度を尿検査や血液検査で調べます。

妊娠成功率はどれくらい?

受精まで完ぺきにしてから子宮に戻すのだから、ほぼ確実に妊娠できるのでは?と思ってしまいがちですが、やはり年齢によって妊娠率は異なります。

20代では60%近い人が体外受精で妊娠できていますが、40代では20%以下にまで低下。原因は卵子の老化といわれています。人間の場合、卵子は胎児時代にすでに作られずっと卵巣内にキープされています。ですから卵子は実年齢と同じ。歳をとって体のあちらこちらに不調が出てくるのと同じで卵子も老化します。ですから、年齢が高ければ高いほど受精まではなんとかできてもその後の細胞分裂がうまくいかないことが多くなってきます。そして妊娠できたとしても流産のリスクも高いです。

もう一つ重要なのが卵巣年齢です。AMH(アンミューラリアンホルモン)の値を調べることで「卵巣にあとどれくらい卵子が残っているか」ということを予測できます。このAMHの値が低いほど卵巣年齢が高く、質の良い卵子も少ないということ。質の良い卵子が取れるかどうかが妊娠率に大きく関わってくるんです。

質の良い卵子を確保できるかがポイント

質の良い卵子を確保するために、排卵誘発剤などの薬剤を使用する方法と自然に育つ卵胞を採卵する方法があります。排卵誘発剤もいろいろな種類がありそれらの薬剤の組み合わせや使用期間などによって、ロング法やショート法、アンタゴニスト法、低刺激法などに分けられます。誘発方法は検査結果や治療歴、医師の考え方、カップルの希望などによって決定されます。

排卵誘発剤を使うにしても自然に任せるにしても、良い卵子を育てるためには普段の生活習慣も関係してきます。食べ物や睡眠、ストレス、タバコ、飲酒などにも気を配ってくださいね。

採卵ってどうやるの?

採卵までに何度か超音波検査(エコー)やホルモン検査を行って採卵日を決定します。ただ薬剤を使って排卵をコントロールしていてもすでに排卵がおきてしまっていて卵子が取れなかったということもまれにあります。月経周期が不安定になりやすい40代が一番起こりやすいそう。

hCGとは排卵を促すホルモンなのですが、hCGの注射をうつと約38時間後に排卵するので採卵時間に合わせて注射します。

採卵は膣よりプローブ(超音波検査で使うセンサー)を挿入し、卵巣の位置などを確認しながら針を卵巣まで進めていきます。針を卵胞に刺したら卵胞液ごと回収します。そしてその後培養士が卵胞液の中から卵子を取り出します。

ただ卵胞の中に卵子が入っていなかった場合もあります。

採卵って痛いの?

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採卵するときはエコーで確認しながら膣から長い針を卵巣まで刺します。卵巣までたどり着くまでにはたくさんの血管をうまくよけなければならないので針を微妙に動かすことも。その時に痛みを感じることが多いようです。

採卵時に痛みを全然感じない人がいる一方で、ものすごく痛い!と感じる人もいます。「腸を引っ張られているんじゃないかと思うような激痛!」「お腹の中をえぐられるような感じ」「痛すぎて意識が遠のいた」などという意見も。でも通常は麻酔をするのでそれほど痛みを感じるはずはないのですが、すごく緊張していたり怖がりだったりするとより痛みを感じやすいそうです。

でも麻酔をするのになんでまだ痛みを感じるの?って思いますよね。それは簡易麻酔だから。局所麻酔ではなく全身麻酔をする場合もあるのですが、意識がまったくなくなってしまうような完全な全身麻酔ではなく、静脈麻酔と呼ばれるものなので痛みを感じる人もいるんです。

前培養~受精

きちんと受精できるように、取り出された卵子は約4~6時間、前培養されます。

卵子を前培養している間に精液から運動している元気な精子だけを取り出します。体外受精には卵子1個に対して10万~20万個の運動精子が必要なのですが、この数よりも少なければ顕微授精、十分にあれば媒精での受精が行われます。

顕微授精のほうが確実に受精させることができるわけですが、顕微授精が本当に出生児に長期に渡って何の問題もないのかどうかはまだわかっていません。ですから複数の卵子が取れたときは、まず媒精を行い、もし受精が確認できなかったら顕微受精も行うという方法が取られているようです。

顕微授精では1匹の精子があればよいので男性の精子が少ないあるいは運動率が悪いなどの問題があっても受精させることができます。

受精操作から約16時間後から受精がきちんと行われたかどうかの確認をします。

胚培養

受精卵(胚)は培養液から栄養をもらって育ちます。温度や酸素、二酸化炭素濃度が調整されているインキュベーターという装置の中で、子宮に戻される日まで管理されます。

胚は一日に一回はチェックしなければならないのでインキュベーターのドアを開けなければなりません。でもドアの開閉でどうしても温度などが影響を受けます。ひとつのインキュベーターに何人もの患者さんの胚を保管しているとなると日に何度もドアを開け閉めしなければなりませんし、それが胚にとってストレスになるので、現在はひとりの患者さんにつきひとつのインキュベーターを使用しているようです。また数分ごとに胚の写真を撮り、それを観察できるインキュベーターも普及してきました。これですとドアを開けることなく胚の管理ができます。

培養士の技術の差

培養室では主に培養士が作業を行っています。卵胞液中から卵子を取り出すこと、精子の調整、受精操作、胚培養、胚の凍結・融解などなどこれらの作業は培養士の仕事です。

これらの作業が妊娠率に大きく関わってくることは間違いないです。ただどの病院に本当に技術のある培養士がいるのかはなかなかわからないですよね。妊娠率を公表している病院もありますが、それらすべてが同じ基準で表しているとは限らないからです。年齢的な制限を設けているかどうかでもかわってきます。

培養士は技術と知識の向上のために日々勉強と訓練が欠かせません。また絶対にミスがあってはならないので非常に神経を使う仕事でもあります。

胚移植

培養室で一定期間育てた胚を子宮に戻すのが胚移植。原則1個です。でも何度も胚移植に失敗していたり、高齢の場合は数個の胚を移植することも。ただ多胎妊娠のなってしまう可能性もあります。多胎妊娠は母子ともにリスクのあることなので、NICU(新生児集中治療室)やMFICU(母体胎児集中治療室)のある施設で出産したほうが良いでしょう。

受精して2~3日後の胚を「初期胚」、5~6日後の胚を「胚盤胞」といいます。自然妊娠の場合、着床するときは胚盤胞の状態なのでそこまで発育させてから子宮に戻すほうが成功率は高めといわれています。ただ少しでも早いうちに体内に戻して育てたほうがより自然なのだからと初期胚を戻したほうが良いと言う考え方もあります。

また胚の質や年齢、子宮内膜の状態などによって医師が判断します。

胚移植は痛い?

胚移植自体は痛みはほとんどないはずです。麻酔もしません。ただその前に頚管粘液をしっかり取り除かないといけないのですが、この膣洗浄が痛い!と感じる人も。膣洗浄は胚移植をする際にカテーテルの先端に粘液がついてしまうのを予防するために行います。

胚移植をする際に男性が立会できる施設も。エコーモニターを見ながら確認することもできます。

胚移植後の安静時間も30分ほどです。その後は普通に日常生活を送っていてOK。自転車に乗っても、サウナや岩盤浴に行っても大丈夫です。ただしタバコと過度の飲酒はやめましょう。

胚移植後は妊娠を継続させるための黄体ホルモンを補充します。飲み薬や注射、膣剤、貼付剤などいろいろあります。

胚の凍結保存

受精卵を培養しすぐに子宮に戻すのが「新鮮胚移植」。一度凍らせてから移植するのが「凍結融解胚移植」です。

移植する胚は原則1つなので、凍結保存することでそれ以外の胚はもし妊娠しなかった場合や第2子や3子を希望した時に利用することができます。
またOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の発症が予想されるときは胚移植はせず、子宮内環境を整えてから胚移植を行います。それまで胚は凍結しておきます。妊娠するとhCGホルモンの分泌によってOHSSがさらに進行してしまい脳梗塞や心筋梗塞、肺血栓などの危険性も出てくるので卵巣の腫れがないときまで待つことになります。

とはいえ、どんな胚でも凍結できるわけではありません。やはりそれなりに質の良い胚に限られます。

胚の細胞が壊れないように凍結保護剤を使って急速に冷凍し、マイナス196度の液体窒素のタンクに保存されます。半永久的に保存は可能ですが生殖年齢を超えた場合は保存できませんし、また施設によって何年までと期限が決まっているところもあります。

凍結融解胚移植のメリット

子宮内膜が胚を受け入れるベストな状態になった時に胚移植ができます。子宮は採卵するまで排卵誘発剤を使い高ホルモン状態にされていたのでしばらく休ませてあげたほうが妊娠率が上がるのだとか。

凍結融解胚移植のデメリット

胚を凍結・融解させる時にダメージを与えてしまう場合も。そうなると移植できなくなってしまいます。また.障害発生率は凍結胚移植の場合のほうが若干高いのではと言われています。

凍結保存の料金

凍結保存の料金は年間1.5万円~10万円ほど。施設によってかなりの差があります。更新するときはまた費用がかかりますし、その連絡がきます。でも夫婦が離婚してしまったり引っ越してしまったりして連絡が取れなくなってしまうケースもけっこう多いのだとか。また離婚や死別してしまったときは廃棄されることになっています。

いよいよ妊娠判定

胚移植後、約2週間で妊娠判定ができます。検査は自分でもできますが、正常な妊娠かどうかはわからないので必ず受診しきちんとした診断をしてもらいましょう。

不妊治療を受けた施設で出産までできるのであれば良いですが、産科へ転院しなければならない場合もあります。その時は治療方法や妊娠までの治療経過を記載している紹介状をかいてもらう必要があります。

体外受精・顕微授精にステップアップすべきかどうか・・・

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タイミング法や人工授精までは比較的すんなり受け入れることができた人でも、医師から体外受精や顕微授精を勧められたら悩んでしまう人は多いのではないでしょうか。

チェック費用の問題

人工授精でも1回数万円ですんでいましたが、体外受精となると1回50万円くらいはかかります。自治体が助成をしてくれるのでだいぶ助かるとはいえ、助成金だけではまかなえないことがほとんどです。1度で妊娠できれば良いですが、もしかしたら何度か行わなければならないかもしれません。いくら子どもがほしいとはいえ、なかなか簡単に出せる金額ではないですよね。

また体外受精の場合は注射や卵胞のチェックのためにひんぱんに通院しなければなりません。お仕事をしている場合、比較的自由にお休みが取れるのなら良いのですが、そうでなければしばらくお休みをするか辞めなければならないかもしれません。

チェックパートナーの理解や協力

あなたはどうしても子どもがほしいと思っているかもしれませんが、パートナーの男性はそこまでして子どもをほしいとは思っていないかもしれません。人の手で受精までコントロールされることに抵抗がある人もいるでしょう。でも体外受精は検査や手術などやはり肉体的にも精神的にも大変な治療です。カップル間で温度差があると治療を続けるのがしんどくなってしまうこともあるでしょう。まずはパートナーとよく話し合う必要がありますね。

男性が協力的であればあるほど不妊治療は短くて済むと言う報告もあるので、パートナーの協力は絶対です。



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