難産について

難産お産がスムーズに進まずに、難産になるかどうかは始まってみないとわかりません。
自然分娩が難しい場合は、母児の安全を確保するために医学的な処置が必要になることもあるので頭に入れておきましょう。


お産は何が起こるかわからない

妊娠経過が順調でも、お産がスムーズに進むとは限りません。
始まる前からトラブルが予測できる場合もあれば、途中で緊急事態が発生する場合もあります。
難産とは、出産が困難で、正常の分娩を行えない出産のことをいい一般的には、人口分娩や異常分娩での出産を指します。

高齢出産だから難産になるわけではありませんがリスクは高くなります。
娩出力、産道、赤ちゃんの動きの3要素の異常や出血、赤ちゃんへの心拍低下などを早期に発見するため、必要に応じて内診や分娩監視装置でのチェックが行われます。

難産になる原因はいろいろ

お産は本当に人それぞれ。
それでも、軟産道強靭や妊娠高血圧症候群などは、高齢出産の妊婦さんに多いトラブルです。
また、体質的なものや持病、妊娠中の肥満、痩せすぎ、筋肉低下など、様々な要因が難産の原因になります。

分娩が長引く場合は、原因と進行状況によって、とられる医療処置もいろいろです。
特に初産では、母児への危険を避けるために、より安全な方法が選択されるケースが殆どです。

お産の種類

  • 経膣分娩
  • 【自然分娩】
    器具などを使わず、子宮の収縮や呼吸法を利用して、膣から分娩する方法。
    【吸引分娩・鉗子(かんし)分娩】
    胎児仮死、母体のいきみ不足などの理由から、器具を使って赤ちゃんをより早く取り出す方法。

  • 帝王切開
  • 膣からの分娩が難しい場合に行う手術法。
    事前に決める予定帝王切開と、分娩中に切り替わる緊急帝王切開とがある。

帝王切開について詳しくはこちら

難産になりやすい人

体質的なもの

  • 35才以上の人
  • 太っている人
  • 妊娠中に太りすぎた人
  • 骨盤が狭い人
  • 身長が低い人
  • 虚弱体質の人
  • 心臓病、ぜんそくなどの持病がある人
  • 子宮筋腫のある人
  • 緊張しやすい人

妊娠に伴うもの

  • 妊娠高血圧症候群
  • 糖尿病や妊娠糖尿病
  • 前置胎盤
  • 逆子
  • 多胎妊娠
  • 常位胎盤早期剥離
  • 臍帯巻絡・脱出
  • 胎児仮死
  • 巨大児
  • 羊水過多症
遷延分娩(せんえんぶんべん)

なんらかの原因で、初産で30時間以上(経産で15時間以上)かかるお産を、遷延分娩といいます。
母児ともに、かなりの負担がかかっていますから陣痛促進剤の使用、酸素吸入、胎児吸引などの処置が必要で、お産を早く終了させます。
尚、経膣分娩が困難あるいは母児に危険が及ぶ場合は、緊急帝王切開となります。

医療処置が必要になるお産の異常

医療処置

微弱陣痛

陣痛が強くならない

陣痛が強くならない、途中から弱まる場合などをいいます。時には、陣痛が止まることもあります。子宮筋腫や多胎妊娠、羊水過多症など、子宮に負担がかかっていると起こりやすいほか、太り過ぎも大きな原因です。また、お産や陣痛への緊張感、恐怖感なども影響するようです。
からだを動かしたり、食事やリラックスをしたりすると強まることがありますが、分娩第2期に弱いままでは、赤ちゃんへの危険が高くなります。処置として、陣痛促進剤の投与や吸引分娩などで対応するか、場合によっては帝王切開になります。

軟産道強靭

軟産道がかたくて開かない

陣痛は来ているのに、軟産道がかたくて、子宮口が順調に開かない状態をいいます。このままでは微弱陣痛や遷延分娩となり、胎児仮死を招くことになるので早い処置が必要です。
個人差はありますが、年齢が高い人ほど、産道周囲の筋肉や組織がかたくなり分娩の時に広がりが悪くなるのです。頸管や膣、会陰の伸びが悪い傾向が見られます。産道がかた過ぎるときは、子宮口をやわらかくする子宮頚管熟化剤の投与やバルーン状の子宮頚管拡張器具を使うこともありますが、場合により帝王切開になります。

児頭骨盤不均衡

頭が大き過ぎて通れない

骨盤よりも、赤ちゃんの頭が大きいことをいいます。これでは頭が通過できないので経膣での分娩は望めず、帝王切開になります。
小さな骨盤は、とくに身長が150㎝以下の人に多いようです。
ただし、骨盤が小さくても赤ちゃんも小さければ問題ありませんし、骨盤のサイズは平均でも赤ちゃんが大き過ぎれば難しくなります。
頭の大きさは、定期健診時の超音波検査でわかりますし、疑わしい場合は、骨盤のレントゲン検査で診断されます。
つまり、ほとんどのケースが事前に確認されます。

過強陣痛

陣痛がある程度強くないと、赤ちゃんは出てこられませんが、強過ぎるのも問題です。ごくまれですが、過強陣痛といって、1分間にも満たない間隔で度を越した痛みが長く続くような場合は注意が必要になります。
強過ぎる陣痛が続くと、赤ちゃんが仮死状態に陥ったり、産道や膣、会陰部などがひどく裂けて大出血を起こしたり、ひどい場合は子宮破裂の原因になったりもします。
原因は、軟産道強靭など産道の異常や巨大児、回旋異常などが考えられます。
また、陣痛促進剤の過剰投与でも起こります。
状態に応じて、陣痛を弱める薬が投与されるか、帝王切開になります。

回旋異常

赤ちゃんの動きがおかしい

赤ちゃんは、狭い骨盤や産道の形に合わせて上手に向きを変え、回旋して出てくるのですが、その回旋がうまくいかなくなってしまうことをいいます。原因は様々ですが、その中にはママの骨盤の形や大きさが関係していることがあります。
赤ちゃんがうまく産道から出られずに進行が止まったり、微弱陣痛になったりして長引くことが多くあります。
陣痛促進剤などを使用し、赤ちゃんの頭が見えるところまで下がれば吸引分娩になりますが、止まった場合は帝王切開になります。

臍帯巻絡・下垂・脱出

へその緒がじゃまする

へその緒が、赤ちゃんのからだに巻きついてしまうことが臍帯巻絡です。また、破水前にへその緒が赤ちゃんの先頭部、つまり頭位なら頭、逆子ならお尻の下方に下がってしまうことを臍帯下垂、破水後に赤ちゃんより先にへその緒が出てしまうことを臍帯脱出といいます。逆子の場合に多く起こります。
いずれの場合も、へその緒が圧迫されるので血流が止まり、十分な酸素が送られなくなって赤ちゃんが酸欠状態に陥るおそれがあります。
臍帯巻絡では、赤ちゃんを早く取り出すために吸引分娩になることがありますが、臍帯脱出は危険なので、逆子の場合は破水前に帝王切開を行います。

胎児仮死

赤ちゃんの心拍が異常

赤ちゃんが仮死、または仮死を招きそうな切迫仮死の状態を起こす直接の原因は、分娩中に赤ちゃんへ酸素が十分に供給されなくなり、低酸素状態を引き起こすからで、心拍数が異常に低下したり上昇したりします。
要因としては、遷延分娩やへその緒の強い圧迫、胎盤の剥離などによって赤ちゃんへの血流が遮断された場合や、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などによって胎盤機能が低下してしまった場合などがあげられます。
低酸素状態のままでは、赤ちゃんが危険です。改善の見込みがないと判断されれば、一刻も早く出す必要があるので吸引して取り出すか、または帝王切開になります。

分娩直後のトラブル

弛緩出血

出産後に多量の出血

胎盤娩出後に大量の出血が起こることです。胎盤が剥がれた後の子宮は、出血を止めるとともに子宮の回復を促すために収縮を始めます。
この収縮が悪いと血が止まらず、時に大量出血になることがあります。
主な原因としては、微弱陣痛による遷延分娩や、巨大児、多胎妊娠、羊水過多症で子宮が過度に伸び切ってしまった場合です。子宮をマッサージし、子宮収縮剤の点滴をしながら、おなかを冷やして子宮をよく収縮させて止血します。
尚、出血量によっては母体に危険が及ぶので、輸血が行われることがあります。

赤ちゃんを引っぱり出す吸引分娩・鉗子分娩

頭が見えているのに出てこないとき

吸引分娩、鉗子分娩とは、赤ちゃんが出るときに医師が介助を加えるものです。
吸引は、専用カップを頭にあてて吸引力で引っぱり出す方法で、鉗子は、大きなヘラ状の鉗子という器具で頭をはさんで引き出す方法です。
これらは赤ちゃんが頭位の姿勢をとっていることが前提で、ママの最期のいきみが弱い、赤ちゃんが引っかかっている、心拍が低下しているなどで母児に危険が迫り、急いでお産させる必要がある時に行われます。タイミングとしては、子宮口が全開まで開き、赤ちゃんの頭が骨盤内まで下がり、膣から見えているのに出てこない時です。
吸引は専用カップを付けて引っ張るだけですが、鉗子は赤ちゃんの頭をはさんで出すので、頭部を傷つけないように熟練したテクニックが必要とされます。一般には、操作が簡単なことから吸引分娩が主流です。

吸引分娩

シリコン製または金属製の吸引カップを赤ちゃんの頭にあて、母体のいきみに合わせて引っ張り出します。カップ内は、ポンプで減圧して密着させるので、強く引っ張っても外れにくくなっています。しかし、2~3回外れた場合には、鉗子分娩か帝王切開が必要になります。

鉗子分娩

鉗子は、金属製の2枚のヘラ状のものを合わせた医療器具のこと。これを膣から入れ、赤ちゃんの頭部をはさんで引き出します。確実なけん引力と迅速性という利点がありますが、鉗子の取り扱いや操作には熟練したテクニックが必要なため、最近ではあまり行われなくなりました。

難産の予防法

生まれたばかり

太り過ぎない

「食べていればつわりが治まるから」「安定期に入るとつわりが治まり、食べ物がおいしく感じられて、つい食べてしまう」という妊婦さんもいます。
ですが、食べすぎ・太りすぎは妊娠合併症を引き起こし、産道を狭くします。
ジャンクフードは避け、カロリーの少ないものや和食を食べるように心がけましょう。

適度なお散歩

出産に備えて体力をつけましょう。オススメの運動は、やはりお散歩。
たくさん歩くことで赤ちゃんが下に降りやすくなります。腰や膝を痛めたりしないよう、ゆっくりと自分のペースで、しっかり呼吸をしながら歩いてくださいね。
妊娠36週以上になったら、毎日30分~40分ほどウォーキングするのがオススメです。

やむを得ない理由で難産になってしまう場合もありますが、ママが日々の生活習慣に気をつけることで防げる難産もあります。
健康的な妊婦生活を送って、安産を目指しましょう!



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