痛いのはいやだ。無痛分娩のメリットとデメリットについて

無痛分娩 イメージ出産の痛みは
「男性には耐えられない」
「生理痛の1000倍」
「腰の上をダンプが通る」
などと例えられるほど。

経産婦さんならある程度の覚悟は出来るかもしれませんが、初産婦さんは恐怖でしかないのではないのでしょうか?
痛みを軽減する出産方法として「無痛分娩」とういものがあります。
このページでは無痛分娩についてまとめてみました。


無痛分娩とは

出産をする前に起こる陣痛。「出産の痛み」とは出産そのものよりもこの「陣痛」の事をさす場合がほとんど。陣痛とは赤ちゃんを子宮から外に出すために子宮が収縮することによって起こる痛みの事です。陣痛の長さには個人差があり、短い人では数十分、長い人では数日間もの間苦しむなんて場合もあります。

経産婦さんよりも初産婦さんの方が陣痛にかかる時間が長くなるのが一般的です。
この陣痛の痛みを軽減させて、出産させる方法が無痛分娩です。

無痛分娩はこのように進んでいきます

STEP1.陣痛が始まる

陣痛陣痛が始まったばかりはまだまだ生理痛のようなかわいい痛み。「あれ?もしかして陣痛が始まったのかな?」とまだ余裕もあります。

その痛みはすぐに治まり、また少したつと痛み出し…を繰り返し始め、だんだんど痛みと痛みの間隔が短くなり痛みも大きくなってきます。この時点で「これは陣痛に違いない」と確信をします。
ここまでは普通分娩と同じです。

>>陣痛についてもっと詳しく

STEP2.入院する

病院陣痛の間隔が短くなってきたら急いで病院に連絡を入れ、その後病院へ向かいます。この頃には陣痛の間隔も10分ほどになり、痛みもだいぶきつくなって来ている事でしょう。

病院について入院の手続きを済ませたら、まずは普通のお産と同じように内診や問診を行い、分娩監視装置を付けてお産の進み具合をチェックします。そしてようやく無痛分娩を始める準備が始まります。無痛分娩の麻酔は背中の腰あたりにカテーテルを使って注入するのでその部分を消毒し、皮膚麻酔をしておきます。

STEP3.麻酔を打つ

麻酔注射いよいよ麻酔を打ちます。ただすぐに打ってくれるとは限りません。陣痛といっても子宮の収縮が弱くて赤ちゃんが出てくる気配がない陣痛の場合(微弱陣痛と言います。)はまだまだ麻酔を打つ段階ではありません。目安としては子宮口が4~5㎝開き、陣痛も本格的になってきてから。ここでやっと麻酔を打ってもらえます。

麻酔を打ってもすぐに効果が表れる人とそうでない人がいます。どちらにしても無痛分娩といっても全く痛みを感じないという訳ではないという事は覚えておいて下さい。

麻酔は背中の腰辺りにカテーテルを通して麻酔を注入する硬膜外麻酔という方法が主流です。あらかじめ皮膚麻酔をしてあるのでカテーテルを通す痛みはありません。全身麻酔ではなく、局所麻酔なので意識ははっきりとしています。

麻酔が効き始めたかどうかに関係なくお産は進行していくので麻酔が効き始める前に出産してしまうという場合もあります。
ただ本格的な陣痛が始まってから出産までにかかる時間は平均して初産婦さんで12時間ほど、経産婦さんでも数時間はかかるので麻酔の効果が遅い人でも殆どの場合、最も陣痛の痛みが大きい間の痛みの軽減は出来るようです。

STEP4.お産が始まる

出産1子宮口が全開となりいよいよ赤ちゃんが産まれる段階になったら赤ちゃんが会陰を通る時の痛みを軽減させる為に会陰部の近くに麻酔を追加します。

赤ちゃんはただ待っていれば生まれてくれるというものではありません。陣痛の痛み(子宮が収縮して赤ちゃんが出ようとしている時)に合わせてお母さんも「いきむ」ことによって赤ちゃんとお母さんが力を合わせて子宮から押し出す共同作業なんです。
無痛分娩によって陣痛の痛みが分からなくなるといきむタイミングが分かりづらくなるので助産師さんにタイミングを教えてもらっていきむようになります。

麻酔をしていないと早く赤ちゃんに出てきてもらいたいという思いが強く、思いっきりいきみますが、麻酔をしているとついついいきむ力が弱くなって分娩に時間がかかってしまう事も多いようです。

陣痛の痛みは感じなくても赤ちゃんが産道を出てくる感触を感じることは出来ます。

会陰切開の痛みを軽減する麻酔もあります

会陰とは産道の出口と肛門の間の部分の事。赤ちゃんの頭が出てくる時に会陰は薄く伸ばされます。伸びが良い人、悪い人と個人差があり、伸びが悪いと赤ちゃんの頭が出てくる時に避けてしまうことがあります。避けたものは産後の処置として縫合しますが避けた部分を縫合するの場合、何針も縫わなくてはならくなりますし、治りも悪くなります。またお産が長引いてしまう可能性もあるのでこれらを避ける為に、医師の長年の経験から会陰が裂けそうな場合には先に医療用バサミで会陰を数センチ切ってしまいます。これを会陰切開と言います。

この会陰切開の痛みも軽減をする麻酔もあり、いよいよ赤ちゃんが出てくる時に会陰部分に麻酔を打ちます。ただ…陣痛の痛みに比べるとハサミで会陰を切られる痛みなんてなんてことないです…。ハサミで切ってお産が早く終わるならさっさと切ってくれ!と実際思いました…。

STEP5.出産後の処置をする

めでたく出産した後は普通の出産と同じような処置を受けます。胎盤を出して子宮内をキレイにし、会陰切開を縫合します。その頃には麻酔の注入は終わっています。あとは普通分娩と同じように点滴をしたり、痛み止めの注射や薬で対処してもらいます。

無痛分娩の赤ちゃんへの影響

無痛分娩の多くは局所麻酔でこの方法だとお母さんの血液の中には麻酔は浸透しないので、お母さんと血液で繋がっている赤ちゃんにも全く影響がありません。
全身麻酔による無痛分娩も行われていてこの場合は血液に浸透するのでお母さんの体を通して赤ちゃんの体にも入っていきます。この為眠ったまま産まれてくる場合もありますが赤ちゃんに有害なものを使う訳がありません。この場合も心配することはありません。

授乳に対する影響

無痛分娩を行ったお母さんの母乳に麻酔薬が移行しているかどうかの研究は残念ながらまだされていませんが、一般的に麻酔薬は母乳に移行しにくいと考えられており、無痛分娩による麻酔薬が母乳を介して赤ちゃんに悪い影響を与えることは考えにくいとされています。

無痛分娩のメリット・デメリット

無痛分娩にはメリットもデメリットもあります。それらを理解した上で無痛分娩で出産をするかどうか考えましょう。

無痛分娩のメリット

無駄な体力を使わないですむ

陣痛が来る度にその痛みと戦うために体全体にものすごい力が入ります。ここで体力を消耗してしまうのでいざいきむ時に力が入らず分娩時間が長引いてしまう事がありますが、無痛分娩の場合は陣痛と戦うための無駄な体力消耗をしないのでお産がスムーズに進みます。お母さんはお産が終わってやれやれ、なんて息つくヒマはあまりありません。出産の後は昼夜を問わずの赤ちゃんのお世話が待っています。出産で無駄な体力を使わないという事はお母さんの体の回復も早く、その後の赤ちゃんのお世話する上でもメリットとなります。

落ち着いて出産に望める

陣痛のあまりの痛さにパニックを起こし、発狂する人もいます。(私もそうでした…。看護師さんにかなりなだめられました。)パニックを起こしながらもあれよあれよとお産は進み、気づいたら赤ちゃんが生まれていていました…。無痛分娩は落ち着いてお産にのぞめるので赤ちゃんが産まれてくる感動にどっぷり浸ることができます。

無痛分娩のデメリット

お産の進みが悪い場合も

麻酔をすると子宮の収縮が弱くなりますし、お母さんが必死でいきむ力も普通分娩と比べてどうしても弱くなってしまうので分娩時間が長くなってしまう傾向にあります。麻酔の副作用で足に力が入りづらくなり、いきみにくくなる場合もあります。陣痛がずっと弱いままの場合は陣痛促進剤を使う事もあります。

後産や子宮収縮の痛みを感じやすい

後産とは出産した後に胎盤を出すために起こる軽い陣痛の事です。胎盤が出た後は広がった子宮を下の大きさに戻すために子宮の収縮が始まります。この子宮の収縮は2,3日続き、痛みを伴います。普通分娩で陣痛による恐ろしいほどの痛みを経験した人でもこの子宮収縮の痛みは嫌なものです。無痛分娩で陣痛のピークの痛さを経験しなかった人にとってはもっともっと嫌なものに感じてしまいがちです。

無痛分娩の副作用

どんな薬にも注射にも麻酔にも副作用があるように、無痛分娩の麻酔にも副作用はありますが、麻酔が切れてくればその症状も治まります。

良くある副作用
チェック足に力が入らない、足の感覚が鈍る
チェック尿意が鈍くなる
チェック体温が上がる
チェック血圧が下がる

無痛分娩に向いている人・向いていない人

無痛分娩をで出産したくても体調面で無理な人もいれば、無痛分娩で出産したほうがいい人もいます。

無痛分娩に向いている人

妊娠中毒症の方

無痛分娩の麻酔には血圧が下がる効果があります。妊娠中は血圧が上がりますので妊娠中毒症で血圧が高い方や、もともとの高血圧の人には向いています。

痛みや緊張に弱い方

極度に痛みに弱かったり緊張しやすくすぐにパニックになってしまう人にはおすすめです。

初産で難産だった方

初産の時の陣痛が何日間も続き、いざ出産となった時に体力を消耗してしまった方、産道が細かったり婉曲してなかなか赤ちゃんが出てこれなかったなど、初産で大変な思いをした方で2人目以降は無痛分娩をされる方は多いです。

持病を抱えている方

お産にはかなりの体力と時間を要します。持病を抱えていてあまり体力を消耗したくない方にもおすすめです。

無痛分娩に向いていない人

麻酔部位に問題を抱えている方

背中の腰まわりに変形があったり神経に異常のある場合は麻酔を打つことはできません。

麻酔アレルギーがある方

事前の検査で麻酔にアレルギー反応が出た場合は無痛分娩は出来ません。

前回の出産が帝王切開だった方

これは無痛分娩に限った事ではありませんが、前回の出産が帝王切開だった場合や出産直前まで逆子がもどらない場合は帝王切開での出産となり、無痛分娩は出来ません。

どこの産婦人科でも無痛分娩はできるのか?

無痛分娩にはとても高度な医療技術が必要とされます。ですからどこの産婦人科でも施術してくれるわけではありません。
腕のいい産婦人科医と麻酔科医がいる所をしっかりとリサーチしましょう。
無痛分娩での出産を希望しているのに今通っている産婦人科で受けられない場合は早めに医師に相談し、無痛分娩が出来るところを紹介してもらいましょう。

国内で無痛分娩が受けられる施設一覧

無痛分娩の海外と日本の現状

世界と日本の無痛分娩世界的に見て日本の無痛分娩での出産率は非常に低いようです。実際に無痛分娩を行っている施設は全国でも300施設程度。無痛分娩はとても高度な技術を要する為に、何事にも慎重な気質を持った日本人ですから敬遠する医師が多いのも現状です。日本人女性は欧米の女性と比べても我慢強く、「痛みに耐えてこそ」というところも日本での無痛分娩率が低い要因の一つでもあるようです。
例えばアメリカでは出産の60%以上が無痛分娩で行われていて、無痛分娩が当たり前となっています。

無痛分娩の費用

無痛分娩費用無痛分娩の費用に健康保険は適用されません。費用は病院によってかなりの差があります。病院によっては普通分娩の費用に含まれる場合もありますし、高額なところだと10万円以上の追加になる場合もあります。大学病院のような大きな施設よりは個人のクリニックの方が安い傾向にあります。

【参考】無痛分娩の種類




硬膜外麻酔法
(こうまくがいますいほう)
主に陣痛の痛みを緩和
■背中側の腰に麻酔
最もポピュラーな方法です。陣痛の痛みを取るだけで子宮の収縮を妨げません。血液に麻酔は浸透しないので赤ちゃんへの影響もありません。
脊椎麻酔法
(せきついますいほう)
陣痛自体を弱める
■脊椎に麻酔
運動神経を麻痺させて陣痛自体を弱める麻酔です。痛みを軽減する効果は高いですが、陣痛が弱いので吸引分娩の力を借りないと赤ちゃんがなかなか出てきてくれないというデメリットもあります。
会陰部神経麻酔法
(えいんぶしんけいますいほう)
赤ちゃんが出てくるときの会陰の痛みを緩和
■会陰に麻酔
産道から赤ちゃんの頭が出てきて会陰が伸ばされる時の痛みを緩和します。陣痛の痛みは緩和しません。会陰の部分しか麻酔はかからないので赤ちゃんへの影響はありません。



吸入麻酔法
(きゅうにゅうますいほう)
意識はなくなります
■麻酔ガスを吸入
鼻と口から麻酔ガスを吸入し、数分で意識がなくなります。吸引分娩になる事が多く、意識が戻った時には赤ちゃんは産まれている状態なので産んだ実感はありません。
静脈麻酔法
(じょうみゃくますいほう)
こちらも意識はなくなります
■睡眠薬を注射
吸入麻酔法と同じく意識のないうちに赤ちゃんは生まれます。血液を通してお母さんから赤ちゃんに作用する場合があり、赤ちゃんも眠ったまま生まれることがあります。

※全身麻酔による無痛分娩は局所麻酔よりも危険性が高まるため現在では殆ど行われていませんが、お母さんの対象次第では全身麻酔での出産をせざるを得ない場合もあります。

無痛分娩のポイントまとめ

  1. 陣痛などの痛みを軽減させる為に麻酔を打っての出産
  2. 出産の流れは普通分娩と同じ
  3. 赤ちゃんへの悪影響は考えにくい
  4. 無痛分娩のメリット・デメリットがある
  5. 体調的に向いている人・向いていない人がいる
  6. 保健適用外 普通分娩+α数万円が一般的
  7. 日本で施術している施設数・利用者は少ない

無痛分娩を経験したお母さんの体験談

実際に無痛分娩を経験した方の体験談をYahoo!知恵袋からひろってみました。

【その1】「無痛分娩と普通分娩の両方を体験しました」
無痛分娩体験談1

【その2】「無痛分娩が少ないのは日本くらい」
無痛分娩体験談2

【その3】「次の子は無痛分娩で産みます」
無痛分娩体験談3

【その4】「無痛分娩をやっている病院が近くにない…」
無痛分娩体験談4

【その5】「帝王切開だって麻酔打ちます」
無痛分娩体験談5



サブコンテンツ