人工授精ってどうやるの?

人工授精とは

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タイミング法を行っても妊娠にはいたらない場合、人工授精へとステップアップします。また女性側にとくに問題が見当たらず、男性の精子が少ない、あるいは元気がない場合も人工授精を勧められます。

人工授精の方法は、まず精液から元気な精子だけを集めて洗浄(精液中の雑菌などによって女性が炎症を起こさないようにするため)。それを細い管を使って子宮内に注入します。その後の受精や着床のプロセスは自然にまかせます。ですから人工授精という名称でためらってしまう人もいると思いますが、自然妊娠に近い感じと思って大丈夫です。

ただ排卵に問題がある場合は排卵誘発剤や排卵促進剤を使いますが、複数の卵子が排卵されてしまうことも。複数の排卵が予想されるときは人工授精を見送ることもあります。多胎妊娠のリスクを避けるためです。

このようなカップルが人工授精の適応になります

・精子が少ない、元気がない

・子宮頸管粘液が少なく精子が子宮内に上がっていかない

・ヒューナーテストの結果が良くない(排卵期に性交して精子が頚管粘液の中にどれくらいいるかを調べる検査。粘液の中に精子がいなければ抗精子抗体があるか子宮頚管炎かも)

・性生活に問題がある(勃起障害やセックスレス)

人工授精の流れ

①排卵日を予測
超音波検査や血液検査、尿検査、基礎体温表などから排卵日を予測します。

②採精
人工授精を行う当日に男性から精液を採取してもらい洗浄・濃縮。運動性がある精子だけを選択します。

精液の中にはホコリや子宮を収縮させる物質などが含まれています。普通に性交渉をした場合は子宮頸管粘液がそれらの物質を取り除いてくれるのですが、人工授精ではそれができないので試薬や遠心分離機などであらかじめこれらの物質を取り除いておきます。

③精子を注入
検査によって排卵していると判定されたら人工授精用のカテーテル(注射器のような器具に針ではなく細い管が取り付けられている)で調整した精子を膣から子宮腔内に注入。

受精のベストタイミングは排卵直前。ですから排卵日は確実に予測しなければなりません。

精子注入後は10分ほど安静にしていたほうが良いそうですが、その後は普通に生活を送っていて大丈夫。感染予防の抗生剤を1~2日処方されるだけです。

④妊娠の判定
14日後に妊娠判定をします。

人工授精と自然妊娠の課程は変わりません。

採精について

男性に専用の容器内に精液をとってもらうことになります。自宅かまたは院内で採精します。院内ですと専用の個室が用意されていることもありますが、中には一般のトイレでするように指示されたなんて人も。

自宅で採精した場合は、2~3時間以内に病院へ持ち込まなければなりません。人肌くらいの温度に保っておくほうが精子にストレスを与えず受精に良い状態をキープできます。運ぶ時はブラの間に挟んだり、ポケットに入れたり、タオルで包んだりすると良いです。

仕事や住んでいる場所によって新鮮な精子を使うことができない場合は、あらかじめ採精をして凍結しておく方法もあります。

また禁欲期間については医師によってさまざまのようですが、1日がベストという研究報告があります。ためすぎてしまうと精子が古くなってしまいます。

パートナーが無精子症の場合は?

男性の100人に1人が精液の中に精子がない無精子症と言われています。ホルモン剤の投与などの治療によって精子が作られるようになれば良いのですが、改善されない場合はパートナー以外からの精子を使うこともあります。非配偶者間人工授精(AID)といいます。匿名の第三者から精子提供をうけて行う場合もありますが、最近は夫の実の父親から精子を提供してもらって人工授精をするケースが増えているのだそう。

まったく見ず知らずの人の精子を体内に注入されるのは正直複雑な気持ちだと思います。生まれてくる子は自分の子どもではあるけれど、夫の子どもではないわけですし。そうなると夫の実の父親の精子であれば夫との血縁関係はあるわけですから受け入れやすいという気持ちもわかります。

非配偶者間人工授精によって生まれた子どもは法的には夫婦の子供として認められますが、実際には夫との血のつながりはありません(まったくの赤の他人の精子を使用した場合)。それでもその子どもを責任を持って育てていくという覚悟が必要になります。

妊娠率

一般的に人工授精の妊娠率は10%といわれています。

ただ年齢が上がるにつれ人工授精での妊娠率も下がり40代以上ですと4%にダウンしてしまいます。

医院によって、あるいは年齢によって人工授精を行う回数は異なるようですが、人工授精の目安は4~5回。一般的に初回の妊娠率が一番高く、やみくもに回数を重ねても良い結果がでないそう。

また不妊治療を専門に行っている施設ではいろいろ検査をすると思いますが、一般の婦人科では十分な検査を行わないところも。例えば、抗精子抗体が陽性(精子を女性の体が異物と勘違いして攻撃してしまう)なのに検査を行っていないばかりにそれを知らなかったら、いくら人工授精を行っても妊娠する確率は低いと言えます。

とくに回数の制限を設けることはないのですが、何度行ってもうまくいかないときは体外受精を提案されることもあります。

人工授精をすればすぐにでも授かることができるだろうと思いがちですが、なかなかそう簡単ではないのも事実なんです。

費用

1回の人工授精にかかる費用はおよそ1~2万円ほど。保険がきかないのですべて自己負担です。しかも病院の自由診療扱いなので施設によって料金に差がでます。

意外と安いなぁと感じる人も多いですよね。でも1回の人工授精で妊娠できるとは限りません。中には10回以上行う人も。そうなるとやはり家計にかなり響いてきますね。また家の近所の病院なら良いですが、遠いとなると交通費もバカになりません。

体外受精や顕微授精になると県から助成金が出るところが多いです。人工授精では対象にならない場合も多いですが、都道府県あるいは市町村によって制度が異なるのでお住まいの地域の市役所に確認してください。

ちなみに私の住む町では人工授精でも1回の申請あたり治療費合計の2分の1の額で15万円を上限に助成してくれるようです。(1年度あたり2回まで申請可能)

人工授精のメリット・デメリット

メリット

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・自然妊娠に近いので精神的負担が軽い
・体外受精に比べると医療費が安い
・痛みもなく身体的負担も少ない
・セックスレスでも妊娠できる

人工授精と自然妊娠の違いは精子が泳ぐ距離の差。人工授精では精子が卵子にたどり着けるまでをサポートするだけなので、自然妊娠とそれほど大差がないといえます。

医療費も体外受精では1回あたり数十万円とかかりますが、人工授精は数万円で済むので経済的にも少し楽です。

また精子を注入する際もとくに痛みを感じることもないですし、病院での滞在時間も2時間~半日ほどなので体への負担もあまりありません。

デメリット

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・医療費
・排卵誘発剤の副作用
・セックスレスが進みがち

体外受精よりは医療費は安くすみますが、それでも排卵誘発剤を使用したりすると別途医療費がかかりますし、何度か通院もしなければならないので交通費もかかります。

また卵胞の成長が遅かったり月経周期が安定していない場合は排卵誘発剤を使用することもあります。ただ排卵誘発剤を使用すると多胎妊娠の確率が高くなりますし、卵巣過剰刺激症候群などの副作用を引き起こす恐れもあります。

人工授精はセックスをしなくても妊娠できるというメリットがありますが、セックスは愛情を確かめる方法でもありますからまったくなくなってしまうのもどうかと思います。ただ排卵日EDなどで悩んでいるのでしたら、愛情表現は気持ちが盛り上がった時に、そして妊娠は人工授精でと割り切ってしまうのも良いのかもしれませんね。

簡易AIHって何?

自宅で男性に精液を針のついていない注射器にいれてもらいます。それを女性の膣内に注入します。膣内に射精ができない場合やセックスレスのカップルの場合、ほかに原因がなければこれだけで妊娠する可能性はあります。

ただ感染のリスクなどもありますから医師の指導はきちんと受けてくださいね。それからセックスしなくても妊娠できるということですから、男性にとってはなんだか不思議な感覚かもしれません。カップル間で話し合いをすることは重要ですし、セックスをしないまでもスキンシップを十分にとるなど意識したほうがいいかもしれませんね。

まとめ

すぐにでも妊娠をしたいから人工授精を飛ばして体外受精をしたいという人も増えているようですが、人工授精で妊娠する人もいるわけですし費用面、体力面、精神面でも体外受精よりずっと負担が少ないです。なにより自然妊娠に近くてリスクも少ないので受けてみる価値はある治療だと思います。

ただ人工授精にこだわりすぎてステップアップをしないでいると妊娠のチャンスを失ってしまうかもしれません。何回まで人工授精を行うのか医師の判断を仰いだり、カップル間で話し合いをしましょう。



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