インフルエンザのワクチン打つべき?

寒い時期になると流行するのがインフルエンザ。
でも妊娠中にワクチンを接種しても良いのかな?インフルエンザにかかったらどうしたら良い?予防策は?などインフルエンザに関わる疑問について調べてみました。


妊娠中は免疫力が低下している

妊娠中の免疫力妊婦さんは通常時よりも免疫力が低下しています。
免疫システムのひとつであるナチュラルキラー細胞が通常の3分の2~半分にまで減少。
それは妊娠初期のつわりなどの影響もありますが、流産をさせないためでもあります。
お腹の中の赤ちゃんは、母親の体の中にいるとは言え半分は父親の遺伝子などを受け継いでいます。
ですから、免疫細胞があまりに強く働いてしまうと赤ちゃんを異物と勘違いして排除してしまうからです。

ただ、「免疫力低下=病気にかかりやすい」ということ。
妊娠中は病気への感染には常に気を配らなければなりません。

免疫力の低下によって、妊婦さんはインフルエンザにかかると重症化しやすいと言われています。
WHO(世界保健機構)によると妊娠週が進むに連れてより重症化しやすく、とくに妊娠28週以降は要注意。
妊婦さんが集中治療室に入る確率は通常時の10倍にもなるというデータもあります。

インフルエンザで怖いのが合併症。
肺炎やインフルエンザ脳症、気管支炎、咽頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、痙攣、喘息発作(持病がある場合)、血小板減少性紫斑病などがありますが、その中でも妊婦さんが併発しやすいのが肺炎です。
インフルエンザウイルスによって喉や気道に炎症が起こると、そこから細菌に感染して肺炎になってしまいます。
日本では重症肺炎になってしまうケースはまれですが、アメリカやオーストラリアでは亡くなるケースも多いです。

また高熱を出すことは赤ちゃんにも何らかの影響を与えてしまう可能性も。
妊娠初期の高熱は赤ちゃんの神経管閉鎖障害や出生異常、早産のリスクがあります。
出産時の高熱は新生児の成長過程に影響をあたえると言われています。

妊娠中にワクチン接種しても良いの?

妊婦さんとワクチンワクチンによる副作用や薬剤の胎児への影響が心配ですよね。
以前は妊娠中、とくに初期はインフルエンザワクチン接種はあまり推奨されていませんでした。
安全性がまだ確率されていなかったのでしょう。
現在はワクチン接種によって胎児の異常が増加するわけではないとされています。

 妊娠初期のインフルエンザワクチン接種の催奇形性に関する大規模な疫学研究はひとつあります。妊娠4ヶ月までにインフルエンザ不活化ワクチン接種を受けた母親から生まれた650人の児において、大奇形、小奇形の発生率は増加しなかったと報告されています(Birth Defects and Drugs in Pregnancy, 1977)。
 他にも第1三半期に不活化インフルエンザワクチン接種を受けた子どもにおいて、先天奇形発生率の増加は認められなかったとの小規模な研究による報告があります(J Infect Dis 140(2):141-146, 1979, Am J Obstet Gynecol 140:240-245, 1981)。
 生ワクチンではないので重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に妊娠中のすべての時期において安全であるとされています。
(国立成育医療研究センター)

日本で一般的に使用されているのは不活性化ワクチンです。
不活性化ワクチンとはウイルスを殺して毒性をなくしたものを利用しているワクチンなので、体の中でウイルスが増えることはありません。

日本では認可されていませんが、インフルエンザの生ワクチンを鼻からスプレーで接種するものもあります。
痛みもなく、抗体もつきやすいのですが、妊婦にはNGとされています。

ワクチン接種による副作用

インフルエンザワクチンの副作用としては注射したところの痛み、発熱、悪寒、頭痛、嘔吐などがあります。
通常は2~3日で自然に消えてしまいます。
その他アレルギー反応が強くでて重い障害が残ってしまうひともいますが、とてもまれなケースです。
インフルエンザにかかってしまうよりも、ワクチンの副作用のほうがリスクが少ないので、接種を進めているのですね。

ただ卵アレルギーがあると重篤なアナフィラキシーショックが起こりやすいです。
その場合はワクチンの接種はせず、予防が中心になります。

ワクチンの防腐剤について

一般的なインフルエンザワクチンには防腐剤として水銀が使用されています。
ただその量は極微量。
マグロなどの魚介類に含まれるものと比べても毒性は少なく、量も少ないのでとくに心配しなくても大丈夫です。

どうしても気になるようであれば水銀不使用のワクチンを選びましょう。
生産量が少ないのでどこの病院にもあるわけではありませんが、妊婦さんは優先的に選択できるように産科や産婦人科に配分されているようです。担当医に尋ねてみてください。

季節性インフルエンザと新型インフルエンザについて

季節性インフルエンザとは一般的なインフルエンザで、過去に感染したことがあれば抗体ができています。
ただ、ウイルスは進化していくので何度でも感染する可能性も。

新型インフルエンザとは季節性インフルエンザウイルスとは全く異なるもので、抗体を持っている人がいないものです。
妊婦さんが感染すると重症化しやすいとも言われているので注意が必要です。
本当に未知のウイルスですとワクチンも効かないかもしれないので完全に防ぐことは難しいでしょう。

2009年の豚インフルエンザは記憶に新しいですよね。
新型ということでかなりパニックになりましたが、毒性も低く、現在は季節性として扱われています。
今年のワクチンの中にも含まれているので、ワクチン接種は1回で済みます。

鳥インフルエンザについて

中国で鳥インフルエンザが話題になりました。
人から人へ感染することはまれとも言われていますが、どこでどのように感染したのかははっきりわかっていません。
死亡率が高いので心配です。
日本でも野鳥がウイルスを運んでくる可能性は否定できません。
妊婦さんはとくに野生動物や家畜への接触は避けたほうがよいでしょう。
死んでいる鳥を見つけても素早く保健所へ連絡をし、決して触らないでください。

ワクチンの効果は本当にあるの?

ワクチンの効果インフルエンザワクチンを接種してもインフルエンザにかかってしまう、だからワクチンは意味が無いと思って受けない人も多いですね。

大量のワクチンを作るのには時間がかかります。
流行する半年前には作り始めるのですが、その間にウイルスが変異してしまうことも。
どの程度の変異なのかは誰にもわかりません。
同じ型であれば、健康的な人なら70~90%の予防効果があります。

不活性化ワクチンは喉でウイルスが増殖するのを抑えることはできません。
でも血液から全身に広がるウイルスを抑えるので、重症化はしにくいのです。

これらのことからワクチンを接種してもインフルエンザにかかってしまうのは仕方がないのです。
インフルエンザワクチンに限っては、病気を防ぐというよりは重症化を防ぐものと認識しましょう。

ママの体にできた抗体はお腹の中の赤ちゃんにもうつります。
産まれたあと6ヶ月ほどは赤ちゃんにも免疫ができているのでインフルエンザにかかりにくいそうです。

いつ接種すべき?

国内で流行るのは11月~4月。
ワクチンを接種して抗体ができるまでは2週間ほどかかるので10月以降、遅くても12月前半までには接種しておきましょう。
抗体は接種後2週間がピークでその後2~3ヶ月すると落ちてきます。
そして1年後にはほとんどありません。

また南半球では6~9月に流行ります。
熱帯や亜熱帯地域では場所によって異なるので、旅行に行く際には情報収集をしましょう。

以前は薬剤の影響を受けやすい妊娠4~12週はさけたほうが良いと言われていました。
現在はアメリカでは、妊娠週に関係なく接種するように推奨されています。
日本では病院によるようで「安定期まで待ったほうが良い」という医師もいます。
もし何かあっては困るしという考えもありますが、安定期を待っている間にインフルエンザ流行期に突入してしまってはリスクが大きいように思います。
メリットとデメリットを比べて見ることが大事ですね。
医師ともよく相談しましょう。

もし感染してしまったら?

インフルエンザに感染インフルエンザの場合、ワクチンを接種したから感染しないということはありません。

インフルエンザの場合、風邪とは違い症状が急激に出ることが多いです。
急に高熱が出る、体がだるい、筋肉痛、関節痛、吐き気、嘔吐、下痢、喉の痛みなどの症状がでたら電話をして病院へ行きましょう。他の妊婦さんにうつさないように一般の病院の内科を受診します。
ただ、お腹の強い張りや子宮からの出血、破水、お腹の痛みなどの症状もあれば、切迫流産や早産の危険性もあります。
電話をして産婦人科を受診してください。

病院では抗インフルエンザ薬を処方してくれます。
タミフルかリレンザを使う場合がほとんどです。
妊娠中だから薬はだめと思いがちですが、タミフルもリレンザも胎児には影響がないとされています。
これらの薬が原因で死産や流産、早産、低出生体異常、発育不全が増加するわけではありません。

「タミフルやリレンザについて」厚生労働省

発症から48時間に服用すると効果的なので、あれおかしいなインフルエンザに感染したかもと思ったらすぐに病院へ行きましょう。
検査結果が出ていなくても、周囲の環境から感染が疑われる場合は予防的にタミフルやリレンザを服用するようにい言われるようです。
早い段階での服用で重症化を防ぎ、治療期間も短縮できます。

タミフルもリレンザも5日間続けて服用しなければなりません。
途中でやめてしまうと薬が効きにくいウイルスができてしまう可能性もあるので処方された薬はすべて使い切ってください。

家族が感染してしまったらどうすれば良い?

妊娠中は自分はもちろん、家族にもワクチン接種をしてもらいましょう。
それでも家族が感染してしまったら、なるべく近づかないようにします。
寝室を変える、食事も一緒にしない、感染者もマスクをする、感染者が触りそうな場所はアルコール除菌をする、換気をこまめにする、同じタオルを使わないなどの対策をしましょう。

両親や近隣の人などサポートしてくれる人がいると安心です。
家族が感染した場合にどのようにするかシミュレーションしておくとよいかもしれませんね。

また家族が感染した場合、妊婦さんは予防のために薬を飲むこともできます。医師に相談してください。

予防法は?

インフルエンザの予防インフルエンザの感染経路は2つあります。
ひとつは感染した人の咳やくしゃみでウイルスがばら撒かれ、それを吸い込んでしまうケース。
ひたつめは咳などでばら撒かれたウイルスが部屋に残り、それを触ってしまうことから感染するケースです。

インフルエンザワクチンは感染を防ぐものではありません。
重症化するのを防ぐためなので、予防することが大事になります。
ワクチン接種をしたから安心と思い、うっかりしていると感染してしまいますよ。

☆外出はなるべく避ける

人混みに行けばどうしても感染リスクは高くなります。マスクは屋外ではあまり効果がないとも言われています。
流行している時期は不必要に出歩かないようにしましょう。
電車などに乗らなければならない時はなるべく空いている時間を選びましょう。

☆手洗い、うがい

手にウイルスが付いているとそれが口や鼻から入ってしまいます。
手洗いは石鹸を使って指の間や爪の中などしっかり洗いましょう。
外出する際にはアルコール消毒液を携帯しましょう。
家に帰ったらうがいは必須です。

☆緑茶を飲む

緑茶カテキンがウイルスが体内に入るのを防ぐ、また体内での増殖を防いでいると言われていて研究がされています。
うがいだけでなく、飲むことでウイルスが喉に付着するのを防ぎます。
ウイルスを飲み込んでしまっても胃酸で死んでしまうので大丈夫なんです。
またこまめに飲むことで喉のうるおいが保たれるので効果的。
たくさんの病人を診察するある医師が実践していると話題になりました。

☆掃除をする

ウイルスは物についたあとでも8~12時間は感染力があるそうです。
家族で感染している人がいる場合、ドアノブやテーブル、椅子の背の部分、階段のてすり、テレビのリモコンなどなど触りそうなものはこまめに拭いて除菌しましょう。
鼻をかんだティッシュはゴミ箱に直接捨てるのではなく、ビニール袋に入れたほうが良いです。

☆体調を整える

免疫力が落ちているとどうしても感染しやすいので、免疫力を上げるために規則正しい生活をしましょう。
つわりの時期はなかなかできないかもしれませんが、バランスの良い食事も欠かせません。
免疫力を高めるためにヨーグルトなどの乳酸菌と乳酸菌の餌となるオリゴ糖(大豆やとうもろこし、ごぼう、玉ねぎ、バナナ、牛乳)を摂取すると良いです。
体が冷えていると感染しやすくなるので防寒対策をしましょう。お風呂につかって温まるのもおすすめです。

☆加湿器を利用する

インフルエンザウイルスが活発に動くのは温度が20度前後かそれ以下、湿度は20%前後。
室内は暖房で暖められていますが、乾燥しがちです。乾燥していると空気中にウイルスが舞い上がってしまうので、加湿器などを利用して適切な湿度(40%)を保ちましょう。
ただ、加湿器をつけていても40%に全然到達していない場合も。
加湿器のパワー不足だったり、広い空間ですと十分な湿度を保てません。
また濡れたタオルを干すだけでは十分とはいえません。
温湿度計でチェックできると良いですね。

☆マスクをする

鼻、アゴ、口をしっかり覆うことのできるマスクを使用しましょう。
鼻の周りにも密着させて隙間を作らないようにします。
ガーゼのマスクではなく、不織布製のマスクを選んでください。
うつされないためにも、うつさないためにもマスクは必須です。

☆その他インフルエンザ対策グッズを使用してみる

顔にスプレーしてウイルスが近づくのを防ぐものや二酸化塩素で空間を除菌するものなど、ドラッグストアにいけばいろいろな予防グッズが売っています。

妊婦がインフルエンザにかかると重症化しやすいです。
ワクチンは安全で胎児への悪影響もないとされているので、妊婦さんも積極的に摂取すべきです。
とはいえ、ワクチンは100%感染を防ぐものではありません。予防がなにより大切です。



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